あおむしの本棚

備忘録を兼ねた読書ブログです。小説・実用書・児童書・絵本など

お片付け本2冊

整理収納アドバイザーの方の本なので、基本の片付け手順は他の片付け関連本とそれほど変わらない印象。
けれど読んでみていくつかわが家が片付かない原因がみえました。
…見えても片付けられないんですけどね(泣)
①出す→②分ける→③減らす→④しまう場所を決める→⑤しまい方を決める
5つのステップのうち③まではたびたび行っているけれど④⑤がどうにも続かずそこらにモノが散らかっております。
この本にはシステムキッチンの戸棚の使い方もイラストで解説されていますが、ザ・昭和の台所流し台の我が家では応用のしかたがわからない…あと定期的に人が集まるので食器が棚を占領して食材のストック置き場が不十分。どこかにパントリーをつくると良い、というアドバイスが響きました。

定年をむかえた世代向けの片付け本ですが、納得と共感がありました。
「ところ天式片付け」はまさにそうです…。
便利な台所グッズも紹介されているのですが、保温調理器具いいですよね。わが家はシャトルシェフではなくアイリスオーヤマ製品を使っていますが特に冬場は温め直しの必要がなく本当に大活躍でした。

すっきり片付けてものを探すストレスがなくなるのが目標なんですが……。

読了『戦争とバスタオル』

 

タイトルが気になったのと、ゆるい雰囲気の表紙から硬くなく読みやすいのかな、と手に取ってみました。

 

タイのジャングルにある川原の露天風呂、沖縄最後の銭湯、韓国の温泉施設、現在はうさぎの島として有名な大久野島の温泉休暇村……。

安らぎをもたらす存在である温泉の、その湯けむりの先にある戦争の歴史の真実を取材した本です。

異世界もののライトノベルでは転生や移転先で温泉をつくって評判になる作品がたくさんあって日本人の風呂好きを体現しているけれど、現実世界の外国で日本人が作った温泉には、ただ風呂好き民族と笑って流せない過酷な歴史があることが知れます。

戦争で受けた被害についての知識はなんとなくあるのに対し、加害については正しく学んでいないし知らないことが多いのだと気づかされました。

タイのジャングル風呂への取材に行く際に利用された泰緬鉄道。

戦時下に日本軍が捕虜とアジア各国からの徴用した労務者を強制労働に駆り出し、

過酷な労働により多くの命が奪われたことから、泰緬鉄道よりも「死の鉄道」と呼ばれることのほうが多いそう。

映画『戦場にかける橋』がこの史実をもとに作られていることも私はよく知らず、また日本国内の取材の部分では、少年時代を毒ガス工場で働き健康被害をうけた戦争語り部の方が自信を「被害者であるだけでなく加害者」と話されていて、日本の戦争についてきちんと知らず、知ろうとせずに他国の戦争やら日本と他国との関係やらについて漠然と考えをめぐらすことの恥ずかさを認識した次第です…。

戦争関連の本にはなかなか手が伸びないのですが、この本は現地の人と一緒にお湯につかりながら取材をしていたりとお風呂が良い緩衝材になって読みすすめることができました。

 

 

読了『准教授・高槻彰良の推察7』

ドラマの二期も終わり(まだ2話までしかみてませんが)、楽しみにしていた新作7巻を読みました。
ドラマは脚本と原作と結構変えてるところあるな〜と思いつつも、ドラマはドラマで割と好きです。オープニングがシャーロックホームズっぽい雰囲気なところとか。
でも、やっぱり原作が面白い!

7巻最初の話は、大学に入った頃の高校までとは違う雰囲気に戸惑っていた初々しい?気持ちを思い出しながら読みました。
以前、異世界エレベーターのネタで描かれた漫画を読んだことがあるような〜と思い出したのですが、あれは『オカルト公務員』だったのか……気になります。

最後の話では夏目漱石の有名なあのフレーズか出ました(笑)
小説読んでると良く遭遇しますよね。

民俗学ものの小説が大好きなのですが、民俗学って日常であまり意識しないので舞台や登場人物は大学、教授、学生、そして教授とバイト学生のコンビ!になりがちなんでしょうね。
事件ものではないけど、以下も民俗学者と学生がコンビの小説です

児童文学・高学年『ぼくらのスクープ』

読むと自然と情報リテラシーが身につくような良い本です。

学級新聞係のイダッチと魔王(いつも魔王と書かれたTシャツを着ているから)。
スクープをねらって取材をしていく中で、いい記事っていったいどんなもの?と疑問を持ち、模索しながら新聞を作り上げます。

冒頭でイダッチは近所のおじいさんからピンポンダッシュの犯人扱いをされ、濡衣を晴らそうと張り込みをしていたところを担任の先生に注意されます。

新聞は公共の利益になることを載せること、近所迷惑やプライバシーを考えない行動もだめ。

みんなが感心して褒めてくるような記事が書きたい!と気持ちが先走ってしまっているイダッチと、スクープって騒いでばかりで全然前にすすまないよね、と冷静な魔王のコンビ。

取材をするものの、真実を公表することで騒ぎをむしかえすことや、真実は見る人によって変わるし、誰の味方をするかで記事もかわってくるし、と世の中にあふれる白黒はっきりしないグレーゾーンの壁にぶち当たり、なかなか新聞づくりは進みません。
どんな記事をのせるかの意見も合わず、喧嘩別れしたあと魔王が体調を崩してしばらく学校を休んだことでイダッチにある考えが浮かんで……最後はピンポンダッシュの濡衣も晴らして終わります。

情報を利用するだけでなくSNSで手軽に情報発信が出来る今日。
使い始めるまえに認識しておいて欲しい大切なことが書いてあると思います。

世の中には特に社会の利益になるわけでもない他人の醜聞でお金を稼ぐようなスクープもあるわけで、、、
本来記事とは、情報とは、をこの本を読んで立ち返れた気がします。
情報は活用はしても振り回されるな、ですね

法医学本『死体格差』

 

タイトルの印象が強かったのと、コロナとか死因で扱いが変わるのか?と気になって読んでみたのですが。

死因が判断される前段階でもう既に地域による解剖率の違いなどの格差がある、という日本の法医学というより死因究明制度が抱える問題点を浮かび上がらせた本でした。

 

・事件性が考えられる場合→司法解剖

・事件性はないが死因不明→調査法解剖or行政解剖

〇前段階の事件性があるかないかを判断する検視を行うのは医学的な専門知識のない警察官。

〇検視に立ち会って死因を判定するのは法医学者ではなく警察医(地域の開業医など)

⇒結果、多くの犯罪死を見逃してきた

〇海外では死因究明のための独立した役所が存在する(アメリカ:検視局)

世界をみても、日本のように警察が仕切っている国はほどんどない。

〇検察や警察が組み立てた見立てに都合の良い証拠として法医学が利用されてしまう危険性がある。都合の良い鑑定を出してくれる法医学者に依頼をしたり、記述を消すよう指示されたり。

〇きちんと司法解剖を行えば40万ほどかかる費用だが、12万程度で行っている県がほどんど。

それ以前はもっと少ない謝礼金でほどんど大学が負担していたが、新法ができてもこのような(費用以外の面でも)現状の改善はできないものだった。

 

根本的な制度の問題、予算不足、法医学者の少なさ…いろんな問題がある厳しい現状のなかで、死者の尊厳と生きている人々の公益が守られている現状はもっと広く知られていなければならないと感じました。

海外との比較のなかで出ていましたが情報のアクセスのしやすさや透明性も大事ですね。

 

大人にもおすすめしたい『なぜ僕らは働くのか』

池上彰さん監修で小学校高学年くらいからが対象の仕事についての本。
漫画と図説がたくさんあって読みやすい構成になっています。

東京の進学校に入学したものの、不登校になってしまい、母の実家の広島に引っ越してきた中2男子が漫画の主人公。職場体験学習を期に、デザイナーの叔母が手がけている子ど向けの仕事の本を読ませてもらい、働くことについて学び、考えていきます。
(図説の部分がおばさんが作成している本の中身)
仕事ってなんだ?仕事とお金の関係、生きるってお金がかかる、仕事と生活、雇用形態、やりたい仕事の見つけ方、お金があれば幸せ?などなど。多方面から仕事と働くことについて解説されています。

将来の仕事や進学先を考える子どもたちだけでなく、実際に働いている大人が読んでも忙しさの中で忘れてしまった何かを思い出させ、改めて自身の仕事、人生について考えさせられるような本でした。
私個人の経験では転職や求職中は悩み焦りながら職を探していると視野が狭くなっている気がするので^^;これまで見えていなかった視点から職を探すヒントが得られるかも、と思いました。

読了『兇人邸の殺人事件』

屍人荘の殺人シリーズ第3段。
小説後ろの書籍案内には〈剣崎比留子〉シリーズとなっているけど、どちらが一般的に使われているのでしょうか……?

『屍人荘の殺人』を読んだときからオカルトと本格推理の組み合わせが新鮮で、新刊が出るのを楽しみにしています。その割に読むのは発売されてからずいぶん遅い(笑)
このシリーズを読むと『十角館の殺人』を思い出します。

今回も斑目機関の研究に起因する事件で複数の犯人がいましたが、マッドサイエンティスト・不木以外はそれぞれ気の毒な斑目機関の被害者というやりきれなさ……。
アニメで『約束のネバーランド』を見ていたので被験者の子どもたちがエマたちのように思えてしまいました。
研究施設の追憶では2作目の予言者らしき記述もありました。
内容をほぼ思い出せないので『魔眼の匣』を読み返し中です^^;