あおむしの本棚

備忘録を兼ねた読書ブログです。小説・実用書・児童書・絵本など

児童文学・高学年『ぼくらのスクープ』

読むと自然と情報リテラシーが身につくような良い本です。

学級新聞係のイダッチと魔王(いつも魔王と書かれたTシャツを着ているから)。
スクープをねらって取材をしていく中で、いい記事っていったいどんなもの?と疑問を持ち、模索しながら新聞を作り上げます。

冒頭でイダッチは近所のおじいさんからピンポンダッシュの犯人扱いをされ、濡衣を晴らそうと張り込みをしていたところを担任の先生に注意されます。

新聞は公共の利益になることを載せること、近所迷惑やプライバシーを考えない行動もだめ。

みんなが感心して褒めてくるような記事が書きたい!と気持ちが先走ってしまっているイダッチと、スクープって騒いでばかりで全然前にすすまないよね、と冷静な魔王のコンビ。

取材をするものの、真実を公表することで騒ぎをむしかえすことや、真実は見る人によって変わるし、誰の味方をするかで記事もかわってくるし、と世の中にあふれる白黒はっきりしないグレーゾーンの壁にぶち当たり、なかなか新聞づくりは進みません。
どんな記事をのせるかの意見も合わず、喧嘩別れしたあと魔王が体調を崩してしばらく学校を休んだことでイダッチにある考えが浮かんで……最後はピンポンダッシュの濡衣も晴らして終わります。

情報を利用するだけでなくSNSで手軽に情報発信が出来る今日。
使い始めるまえに認識しておいて欲しい大切なことが書いてあると思います。

世の中には特に社会の利益になるわけでもない他人の醜聞でお金を稼ぐようなスクープもあるわけで、、、
本来記事とは、情報とは、をこの本を読んで立ち返れた気がします。
情報は活用はしても振り回されるな、ですね