民俗ファンタジー『鬼切の子1』
鬼滅の刃と呪術廻戦を混ぜたみたいな話、と聞いて読んでみました。
確かに鬼が出てくるし、呪術使ってやっつけてました(笑)
オオクワガタを捕まえるために入った夜の鎮守の森。
キイイインという音が大悟の耳に聞こえてくる。その音は2週間前から聞こえ始めたが大悟以外の人には聞こえておらず、一緒に鎮守の森にやってきた親友の類にも心配されるのが嫌で黙っている。
森の奥に進んでいくと、守りの大岩のしめ縄が落ち、大岩が割れていた。大悟は岩の向こうの赤い光に気づく。風にのって助けを呼ぶ声が聞こえてきた大悟は走り出そうとするが、しめ縄が足に絡まったため小刀で縄を切り、大岩を越えてしまった。
その直後鎮守の森は姿を消し、大悟は広々とした平野にたたずんでいた。類の姿も見えない。足音が近づいてきて振り返ると三本に枝分かれしたツノの鬼がいて、カラダを乗っ取ろうとしてくる。そこへカラスの面を被った少年が助けに入る。しかし大悟の後を追ってきた類が鬼に体を乗っ取られてしまた!
肉体を得た鬼を魂だけの存在である烏面少年一人で倒すことはできない。名前を烏面の少年に渡すことで大悟の中に少年が入り、類を助けることができるというがーー。
関守の末裔である大悟が大岩から刀をとりだし、烏面の少年と共に異界から出て人々の心の闇に憑りついた鬼を倒す物語。
この手の漫画やらラノベやらをそれなりに読んできた大人からすると目新しさはないでしょうが、そこは小学校高学年を対象にした物語。説明が丁寧というか親切な感じで、鬼や妖怪の話が好きな子は楽しく読めそうです。
異界と人界の境界ということばや白羽の矢、牛頭馬頭とは何かというのもさらっと知れて、民俗学という学問に触れるきっかけになる本でした。